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第二話「助けなくても、私はここにいていい?」

(前回:「私は誰のために生きているの?」の続き)



1章:「私は助けなくても、誰かが話を聞いてくれる?」

「最近、どう?」


不意にかけられた言葉に、私は少し驚いた。

カフェで向かいに座る友人の美咲が、コーヒーをかき混ぜながら私を見つめている。


「…え?」 


「だから、最近どうなの?」

(私が、話をする側?)


これまでは、誰かの悩みを聞くのが私の役割だった。 でも、今日は違った。


「…うん、まあ、普通かな。」 「それ、本当?」


美咲の目が優しく笑う。 私はふと、自分がつい「大丈夫」って言いそうになっていたことに気づいた。


いつもだったら、「元気だよ!」と笑顔で言っていた。 

けれど、今日は少しだけ違う言葉を選んでみた。


「…最近、ちょっと疲れてるかも。」


そう言った瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。 (私、話してもいいんだ。)



2章:「弱さを見せても、関係は壊れない?」

「この間、仕事でね…。」


気づけば、私はぽつぽつと話していた。 


ずっと、心の奥でため込んでいたことを。


「周りが期待することを優先しすぎて、自分が何をしたいのかわからなくなる。」

「いつも頼られるばかりで、誰かに頼ることができない。」

「本当は、私も話を聞いてほしい時があるのに…。」


美咲は、それを遮らずにただ「うん」と聞いてくれた。


「大変だったね。」


それだけの言葉なのに、私は泣きそうになった。


これまで、私は「話したら迷惑をかける」と思っていた。 


「弱さを見せたら嫌われる」と信じていた。


でも、美咲はそんな私を責めることも、突き放すこともなく、ただ受け止めてくれた。

(私が助けなくても、誰かがここにいてくれる?)



3章:「自分のことを優先してもいい?」

それから少しずつ、私は「自分を優先する」という選択を試し始めた。


ある日、会社で「手伝ってくれない?」と声をかけられた。


これまでなら、即座に「もちろん!」と答えていた。 


でも、私は心の中で問いかけてみた。

(私、本当に今、手伝いたい?)


「…ごめん、今日はちょっと忙しくて。」


自分の口から出た言葉に、自分が一番驚いた。 


でも、それを言っても、世界は変わらなかった。


上司は「そっか、じゃあ別の人に頼むね」と言っただけだった。


「私がやらなきゃ」じゃなくても、物事は進む。 


そして、私は今までよりもずっと、心が軽かった。

(私の気持ちを大切にしてもいい?)



4章:「私は、私のままで価値がある?」

自分の時間を少しずつ取り戻し始めると、不思議なことが起こった。


気づけば、以前よりも 「本当に好きなこと」 を考える時間が増えていた。


休日に、誰とも会わずに一人で本を読む時間を作る。

仕事の休憩時間に、同僚の雑談に付き合うのではなく、窓の外を眺める。

誰かのためじゃなく、「自分が食べたいもの」を選ぶ。


「なんか、最近ちょっと変わったね。」

美咲にそう言われたとき、私は少しだけ笑った。


「うん。少しずつだけど、変われてるかも。」


それは、「いい人」じゃなくても、私は大丈夫だと思える感覚。 


そして、私が「ここにいていい」と思える、初めての安心感だった。



❤️「助けなくても、私はここにいていい」と気づくのが第一歩。

❤️「話してもいい」と思えることの安全感。

❤️「自分を優先する選択」を増やすこと、それをあなたは許されているんだよ。

 
 
 

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