第二話「助けなくても、私はここにいていい?」
- The Mental Health Counselor
- 3月10日
- 読了時間: 3分
(前回:「私は誰のために生きているの?」の続き)

1章:「私は助けなくても、誰かが話を聞いてくれる?」
「最近、どう?」
不意にかけられた言葉に、私は少し驚いた。
カフェで向かいに座る友人の美咲が、コーヒーをかき混ぜながら私を見つめている。
「…え?」
「だから、最近どうなの?」
(私が、話をする側?)
これまでは、誰かの悩みを聞くのが私の役割だった。 でも、今日は違った。
「…うん、まあ、普通かな。」 「それ、本当?」
美咲の目が優しく笑う。 私はふと、自分がつい「大丈夫」って言いそうになっていたことに気づいた。
いつもだったら、「元気だよ!」と笑顔で言っていた。
けれど、今日は少しだけ違う言葉を選んでみた。
「…最近、ちょっと疲れてるかも。」
そう言った瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。 (私、話してもいいんだ。)
2章:「弱さを見せても、関係は壊れない?」
「この間、仕事でね…。」
気づけば、私はぽつぽつと話していた。
ずっと、心の奥でため込んでいたことを。
「周りが期待することを優先しすぎて、自分が何をしたいのかわからなくなる。」
「いつも頼られるばかりで、誰かに頼ることができない。」
「本当は、私も話を聞いてほしい時があるのに…。」
美咲は、それを遮らずにただ「うん」と聞いてくれた。
「大変だったね。」
それだけの言葉なのに、私は泣きそうになった。
これまで、私は「話したら迷惑をかける」と思っていた。
「弱さを見せたら嫌われる」と信じていた。
でも、美咲はそんな私を責めることも、突き放すこともなく、ただ受け止めてくれた。
(私が助けなくても、誰かがここにいてくれる?)
3章:「自分のことを優先してもいい?」
それから少しずつ、私は「自分を優先する」という選択を試し始めた。
ある日、会社で「手伝ってくれない?」と声をかけられた。
これまでなら、即座に「もちろん!」と答えていた。
でも、私は心の中で問いかけてみた。
(私、本当に今、手伝いたい?)
「…ごめん、今日はちょっと忙しくて。」
自分の口から出た言葉に、自分が一番驚いた。
でも、それを言っても、世界は変わらなかった。
上司は「そっか、じゃあ別の人に頼むね」と言っただけだった。
「私がやらなきゃ」じゃなくても、物事は進む。
そして、私は今までよりもずっと、心が軽かった。
(私の気持ちを大切にしてもいい?)
4章:「私は、私のままで価値がある?」
自分の時間を少しずつ取り戻し始めると、不思議なことが起こった。
気づけば、以前よりも 「本当に好きなこと」 を考える時間が増えていた。
休日に、誰とも会わずに一人で本を読む時間を作る。
仕事の休憩時間に、同僚の雑談に付き合うのではなく、窓の外を眺める。
誰かのためじゃなく、「自分が食べたいもの」を選ぶ。
「なんか、最近ちょっと変わったね。」
美咲にそう言われたとき、私は少しだけ笑った。
「うん。少しずつだけど、変われてるかも。」
それは、「いい人」じゃなくても、私は大丈夫だと思える感覚。
そして、私が「ここにいていい」と思える、初めての安心感だった。
❤️「助けなくても、私はここにいていい」と気づくのが第一歩。
❤️「話してもいい」と思えることの安全感。
❤️「自分を優先する選択」を増やすこと、それをあなたは許されているんだよ。
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