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第一話「私は誰のために生きているの?」

更新日:3月10日


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1章:いつも「優しい人」でいること

「ありがとう、助かったよ!」同僚の山本さんが私に笑顔で頭を下げた。


「いいえ、全然大丈夫です!」私は自然とそう返していた。


(今日も誰かを助けた。私の存在価値がここにある。)


仕事が終わる頃には、デスクの上に自分の仕事が山積みになっていた。


けれど、それを片付ける頃には誰もいなくなっている。


帰り道、コンビニでサンドイッチを買って、冷めたコーヒーを飲みながら考える。


「私、今日もがんばったよね?」


でも、なぜだろう。心の奥がずっと冷たいままだ。



2章:いつも後回しにされる私

実家に帰ると、母は相変わらず忙しそうに電話をしていた。


「お母さん、今日ちょっと相談したいことがあるんだけど…」


「ああ、ごめんね。あとでね。」


「あとで。」何度この言葉を聞いただろう?


私はいつも「あとで」だった。


小さい頃、弟が泣いていると私は母の代わりに彼をあやした。


「お姉ちゃんなんだから、ちゃんと面倒見てね。」


そう言われるたび、私は頑張っていい子でいようとした。


「いい子でいれば、お母さんに愛されるはず」


そう信じていた。



3章:「私が頑張らなきゃ」が止まらない

「また手伝ってくれない?」友人の美咲からのLINE。


「うん、もちろん!」送った瞬間、ふと気づく。


(これ、本当にやりたいの? それとも断るのが怖いだけ?)


いつからか私は、「助ける側」 にいることで安心するようになっていた。


それが私の役割。私の価値。


でも、ふと考える。


「もし、私が誰も助けなくなったら? 誰も頼らなくなったら?」


…私って、何者?



4章:心の中のぽっかりとした空白

ある日、会社の後輩が言った。


「先輩って、いつも人のために動いてますよね。でも、自分のためには何してます?」


私は、言葉に詰まった。「……え?」


「だって、先輩っていつもみんなのことばっかりで、自分の好きなことって何か、聞いたことないなって。」


自分の好きなこと?


私は、何が好きなんだろう?何をしたいんだろう?



5章:「自己犠牲スキーマ」の存在

ある日、「スキーマ療法」という言葉を見つけた。「自己犠牲スキーマ…?」


「幼少期に、自分を犠牲にして相手を優先することで愛されると学んだ人が、大人になっても無意識にその行動を続けてしまう」


「……私のことだ。」


私はいつも「いい人」でいようとしていた。


でも、それは「いい人」でないと、誰にも愛されないと思っていたからだった。


「私は、誰のために生きているの?」



6章:自分を取り戻す一歩

その日から、私は「NO」と言う練習を始めた。


最初は怖かった。


でも、断ったからといって、人間関係が壊れるわけじゃない。


少しずつ、「私がしたいこと」「私が大切にしたいこと」を考える時間が増えた。


そして、ふと気づく。


「……私、何もしなくても、このままで価値があるんじゃない?」




エピローグ:もし、あなたが同じなら…

もし、あなたが「助ける側」でいないと不安になるなら。


もし、誰かに感謝されないと満たされないなら。


それは、


あなたの本当の心が「自分を大切にしてほしい」と願っているサインかもしれません。


「自己犠牲スキーマ」に気づくことが、あなた自身のアイデンティティを取り戻す第一歩。


あなたの「本当の自分」を見つける旅、始めませんか?


 
 
 

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