第一話「私は誰のために生きているの?」
- The Mental Health Counselor
- 3月9日
- 読了時間: 3分
更新日:3月10日

1章:いつも「優しい人」でいること
「ありがとう、助かったよ!」同僚の山本さんが私に笑顔で頭を下げた。
「いいえ、全然大丈夫です!」私は自然とそう返していた。
(今日も誰かを助けた。私の存在価値がここにある。)
仕事が終わる頃には、デスクの上に自分の仕事が山積みになっていた。
けれど、それを片付ける頃には誰もいなくなっている。
帰り道、コンビニでサンドイッチを買って、冷めたコーヒーを飲みながら考える。
「私、今日もがんばったよね?」
でも、なぜだろう。心の奥がずっと冷たいままだ。
2章:いつも後回しにされる私
実家に帰ると、母は相変わらず忙しそうに電話をしていた。
「お母さん、今日ちょっと相談したいことがあるんだけど…」
「ああ、ごめんね。あとでね。」
「あとで。」何度この言葉を聞いただろう?
私はいつも「あとで」だった。
小さい頃、弟が泣いていると私は母の代わりに彼をあやした。
「お姉ちゃんなんだから、ちゃんと面倒見てね。」
そう言われるたび、私は頑張っていい子でいようとした。
「いい子でいれば、お母さんに愛されるはず」
そう信じていた。
3章:「私が頑張らなきゃ」が止まらない
「また手伝ってくれない?」友人の美咲からのLINE。
「うん、もちろん!」送った瞬間、ふと気づく。
(これ、本当にやりたいの? それとも断るのが怖いだけ?)
いつからか私は、「助ける側」 にいることで安心するようになっていた。
それが私の役割。私の価値。
でも、ふと考える。
「もし、私が誰も助けなくなったら? 誰も頼らなくなったら?」
…私って、何者?
4章:心の中のぽっかりとした空白
ある日、会社の後輩が言った。
「先輩って、いつも人のために動いてますよね。でも、自分のためには何してます?」
私は、言葉に詰まった。「……え?」
「だって、先輩っていつもみんなのことばっかりで、自分の好きなことって何か、聞いたことないなって。」
自分の好きなこと?
私は、何が好きなんだろう?何をしたいんだろう?
5章:「自己犠牲スキーマ」の存在
ある日、「スキーマ療法」という言葉を見つけた。「自己犠牲スキーマ…?」
「幼少期に、自分を犠牲にして相手を優先することで愛されると学んだ人が、大人になっても無意識にその行動を続けてしまう」
「……私のことだ。」
私はいつも「いい人」でいようとしていた。
でも、それは「いい人」でないと、誰にも愛されないと思っていたからだった。
「私は、誰のために生きているの?」
6章:自分を取り戻す一歩
その日から、私は「NO」と言う練習を始めた。
最初は怖かった。
でも、断ったからといって、人間関係が壊れるわけじゃない。
少しずつ、「私がしたいこと」「私が大切にしたいこと」を考える時間が増えた。
そして、ふと気づく。
「……私、何もしなくても、このままで価値があるんじゃない?」
エピローグ:もし、あなたが同じなら…
もし、あなたが「助ける側」でいないと不安になるなら。
もし、誰かに感謝されないと満たされないなら。
それは、
あなたの本当の心が「自分を大切にしてほしい」と願っているサインかもしれません。
「自己犠牲スキーマ」に気づくことが、あなた自身のアイデンティティを取り戻す第一歩。
あなたの「本当の自分」を見つける旅、始めませんか?



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