何をしても満たされない『自己犠牲スキーマ』がもたらす心の空白
- The Mental Health Counselor
- 1月30日
- 読了時間: 7分
「家族や友人、職場のためにいつも自分を後回しにしてしまう。それなのに、感謝されるどころか、どこか満たされない気持ちが続く…そんな経験はありませんか?」

周囲を助けたり支えたりするのは素晴らしいことです。しかし、自分のことを犠牲にし続けることで、心の中にぽっかりとした空白が生まれることがあります。
「実は、その『満たされない感覚』の背景には、幼少期の経験から形成された『自己犠牲スキーマ』が隠れている可能性があります。」
そして、長い年月をかけて構築されたスキーマが、次第にアイデンティティを曖昧にしてしまうことも考えられます。
自己犠牲スキーマとは?
スキーマとは何か?
スキーマとは「心の枠組み」であり、思考や行動のパターンに影響を与えるものです。
自己犠牲スキーマは、 「自分を犠牲にして他人のために尽くさなければならない」 という思考や行動パターンの一つであり、意識せずにそのような選択をすることが多い状態を指します。
自己犠牲的な行動を取ることが多い場合、その背景にはこのスキーマが影響している可能性があります。
他者の欲求を優先し、自分のことは後回しにする
自分が「助ける側」であることで価値を感じる
断ることに強い罪悪感を抱く
自分が満たされるよりも、他者を満たすことに重点を置く
また時に、自身の欲求が満たされないと感じると、世話をしている相手に対して敵意を抱くこともあります。
一方、
自己犠牲スキーマを持つ人は、友人が多い場合があります。 というのも、自己犠牲スキーマを持つ人は相手に全てと言っていいくらいのものを与えます。ですから、世話をしてもらった他者からすると、「ありがたく」思われることが多くなってゆくのです。
この自己犠牲スキーマというのは、2次的なスキーマとも言われています。 例えば、仮に1次のスキーマとして、「欠陥スキーマ」が存在しているとします。 そうなると、「相手の欲求に答えていけば、自分の欠陥に目を瞑り、受け入れてくれるだろう。そうなれば、私は愛される存在になれる」のような脳のパターンがある可能性が存在します。
どのように自己犠牲スキーマが形成されるのか?
この自己犠牲スキーマが形作られてきた背景には、 「これは、幼少期に『自分を我慢して相手を優先することが愛される条件』と感じた経験から生まれることが多いとされています。」
例えば、 「親が忙しくて自分の気持ちを後回しにされたり、家族の問題を背負って『いい子』でいなければならなかった場合、つまり、親の代わりを担ってきた人はこのスキーマが形成されることがあります。」
先ほどの 「家族や友人、職場のためにいつも自分を後回しにしてしまう。それなのに、感謝されるどころか、どこか満たされない気持ちが続く…そんな経験はありませんか?」
に対する回答の可能性としては、
「自己犠牲スキーマを持つと、他人を優先することにエネルギーを使いすぎ、自分の本当の感情や欲求に気づけなくなります。その結果、どれだけ尽くしても『何か足りない』と感じることが増える」です。
自己犠牲スキーマの影響
日常生活への影響
周囲を優先するあまり、自分の欲求が抑え込まれる
「仕事で同僚のサポートに回るばかりで、自分が本当にやりたいことを後回しにしてしまう。」
「家族や友人の問題にばかり気を取られて、自分のための時間を作れない。」
感謝を期待しすぎる結果、失望しやすい
「誰かのために頑張るものの、期待したように感謝されなかったりすると虚しさが募る。」
感情的な影響
慢性的なストレスや疲労感
「常に他人のために動いている感覚があり、休むことに罪悪感を覚える。」
自己評価の低下
「自分自身の価値を、自分の行動や他人からの評価で測るようになり、『自分らしさ』がわからなくなる。」
アイデンティティとは?
アイデンティティとは、「私は何者か?」という自己認識や価値観のことです。 過去の経験、社会的な役割、信念、人間関係などを通じて形成されていきます。
アイデンティティの主な側面
自己同一性 → どんな場面でも「自分らしさ」を保つ
社会的アイデンティティ → 所属する集団や社会の中での自分の役割を意識
個人的アイデンティティ → 自分だけの価値観や人生の目的を大事にする
日常におけるアイデンティティの例
自己同一性
一人でいるときも、友達といるときも、性格や価値観が変わらない。
例:「私はどんな場面でも誠実でありたい」と考える。
他人の期待に流されず、自分の好きなことを大事にする。
例:「周りは違う音楽が好きだけど、自分はこのアーティストが好き!」
社会的アイデンティティ
職場や学校で、自分の役割を意識する。
例:「私はリーダーだから、みんなをまとめる役割を果たさなきゃ。」
国際交流の場で、自分の文化的背景を意識する。
例:「日本人として、相手に礼儀正しく接しよう。」
個人的アイデンティティ
自分の価値観に沿った決断をする。
例:「周りは会社員になったけど、自分は起業して自由に働きたい。」
自分なりの生き方を見つけて、それを貫く。
例:「周りが結婚を急かしても、自分は自分のペースで生きたい。」
自己犠牲スキーマがアイデンティティに与える影響
自己犠牲スキーマが強いと、アイデンティティの形成や維持が難しくなり、次のような影響が生じることがあります。
「自分の価値観」がわからなくなる
他人のニーズを優先しすぎる結果、自分が何を大切にしているのかを見失う。
例:「友人や家族を喜ばせるために選んだ道が、いつの間にか自分にとってのストレスになっている。」
「自分の意見」を持てなくなる
「相手に嫌われたくない」「波風を立てたくない」という思いから、意見を抑え込む癖がつく。その結果、自分が本当に何を望んでいるのかを考えることを避けるようになる。
他人の期待に応える「仮のアイデンティティ」を生きる
自分ではなく、他人に求められる役割を優先することで、本当の自分がぼやけてしまう。
例:「『良い親でなければならない』『職場で頼りにされる人でいなければならない』と感じ、自分がどうありたいかを忘れてしまう。」
「他人からの承認」がアイデンティティの基盤になる
「他人に認められないと自分には価値がない」と感じ、他人の評価に依存するようになる。これにより、自分を自分らしく表現することが困難になる。
アイデンティティが揺らぐことの長期的な影響
自己犠牲スキーマが強い状態が続くと、長期的には『自分らしさ』が見えなくなり、生き方そのものに迷いを感じやすくなります。 他人に合わせてばかりいると、自分の人生が他人の期待で埋め尽くされ、本当の充実感や満足感を得ることが難しくなります。
自己犠牲スキーマを癒し、アイデンティティを取り戻すためのポイント
「自分にも切実な欲求があり、その欲求が満たされていない」と気づくことが大切です。
自分の内面に意識を向けることで、どのような価値観や思考パターンが影響しているのかを見つめ直すことができます。
変化のイメージ
✅ 心の余裕が生まれる
✅ 本当に大切なことに集中できる
✅ 自分を優先することに罪悪感を持たなくなる
✅ 周囲との関係が健全になる
このような変化は、一朝一夕に起こるものではありませんが、少しずつ意識を向けることで、より自分らしい生き方を取り戻していくことが可能です。
まとめ
「『何をしても満たされない』という感覚の背景には、自己犠牲スキーマが深く関係していることがあります。このスキーマが、あなたのアイデンティティを揺らし、他人の期待に応えるばかりの生き方を強いているかもしれません。しかし、このスキーマを特定し、自分の価値観を見直して行動を変えることで、心の充実感を取り戻し、より自分らしい人生を歩むことが可能です。」
もし、 「自己犠牲スキーマを見直したいと感じた方は、スキーマ療法を活用したアイデンティティ見直しについて無料相談を受け付けていますので、ぜひWebサイトの問い合わせよりご連絡ください。あなたが自分らしさを取り戻すお手伝いをいたします。」
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